伝説の二人

その二人は伝説となった・・・


それは、或る深夜のことである。寡人が今年の学祭の個人展示の作品を作っていたときのことである。


突然メッセの窓が開いた。マアいつものことだ。どうも主催者ともう一人いるようだ。そう思ってまあ様子を見ていたのだが・・・


寡人は絶句した。双方非常に円滑に会話を交わしているのだが、そのあまりの独特且つ難解且つ広範且つ唐突な内容は、神業としか言いようがなかった。


其れは例えば、或る事象が話題に上がると、それにかろうじてどこかに関連する(殊によると無関連ですらある)別事象を引き出す。そうすると今度はその引き出した別事象に対しても前術のようなことが起こり、どんどん主題からはずれ、ついにはその拡大希薄化した、否、寧ろもう原形をとどめていない事象が、主題に成り代わってる。が、何故かその最終的帰結は、最初に提案された事象についての結論となっている。その、主題と無関係で且つ相互独立していると思われた事象群が、結果として最初命題の解答になっているのである。


この二人の会話は”神の暗号”という名に相応しい、非常に神聖なものを感じると同時に、一つの疑問を感じずにはいられなかった。それは、どうやってこの無駄且つ無駄且つ無駄な話題を、笑いのない真剣な話題として継続して会話できてしまうのか、ということである。


寡人は、彼らが会話し始めて数行で、これは無駄だ、と思い、不参加の方針を固めたのであった。そんなことは露知らず、彼らは黙々と且つ粛々と且つ延々と、もう既に意味を成さない話題について論じ合っていたのであった。


或る時は、聞くものを圧倒するその専門電子遊戯知識を、ごく当然かのように会話の一部として、表現の一手段として、まさに神業的博識さを利用し駆使して論じている。

また或る時は、ミントさんが大好きなあまり、あまつさえ寡人すら同類に仕立てようとする旨の話題を持ち上げる。

結局やはり全ての会話を通じていえるのは、全てが支離滅裂且つ意味不明且つ意図不明且つ理解不能且つ突然・唐突であり相互独立、関連皆無であるのだ。が、それでいて不思議に何故か結論はしっかり出てしまうのである。


で、無視しまくっていると、いつの間にか終了していた。否、無視していたわけではない。少し暇がなくて、見ることができなかったのだ。この、神聖な出来事を記録せずにはいられず、この記事を執筆していたのだ。しかしながらこの記事を書くにあたり、どうしても気がかりがあった。それは、何故このような無駄なことをしているのだろう、という念である。マア結局最後まで、十分ではないが一通り書き上げてしまっていた。


寡人は①勉強、②漢検、③帝国、④制作などなどなどという、したいこと、せねばならんことを持ち合わせている。そんな中これを書いてしまったことは、なんだか現実逃避以外の何者でもないような気がして、更なる自己嫌悪の対象となっている・・・


というわけで、どうもこのまま徹夜して、朝に寝そうな雰囲気になってきた、のは置いといて、まず作品完成させようと思う今日この頃でした。